暗号資産の税制

インタラクティブ・ガイド:日本の暗号資産税制 2025年更新版

日本の暗号資産税制ガイド (2025年7月現在)

暗号資産の税金と確定申告の基本を理解する

1. 現在の税制 (2025年7月時点)

2025年7月現在、個人の暗号資産取引による利益は、原則として「雑所得」として扱われます。これは、給与など他の所得と合算して税額を計算する「総合課税」の対象となり、株式投資などとは異なる税制が適用されます。このセクションでは、現行制度と、業界が要望している「申告分離課税」との違いを詳細に比較します。

項目 雑所得 (現行制度) 申告分離課税 (要望)
所得区分 総合課税(累進課税) 分離課税(一律税率)
税率 最大55% (所得税・住民税合算) 一律20.315% (所得税・地方税合算)
損益通算 雑所得内でのみ可能 他の金融商品と可能 (要望内容による)
損失繰越 不可 3年間可能 (要望)

給与所得者の「20万円ルール」と住民税

給与所得者で年末調整を受けている場合、暗号資産の所得が年間20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要になることがあります。しかし、このルールは所得税のみに適用され、住民税については所得が発生する限り、金額にかかわらず原則として申告が必要です。この点を見落とさないよう注意が必要です。

出典: 国税庁「No.1524 暗号資産を使用することにより利益が生じた場合の計算方法」, 日本暗号資産ビジネス協会「2025年度税制改正に関する要望書」

2. 課税対象となる取引と所得計算

暗号資産の利益は、売却時だけでなく様々なタイミングで発生します。どのような取引が課税対象となるかを正しく理解することが、適切な申告の第一歩です。以下に主な課税対象取引をまとめ、計算方法についても解説します。

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法定通貨への売却

売却価額から取得価額と手数料を差し引いた金額が利益となります。

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暗号資産同士の交換

交換時点の時価と取得価額との差額が利益となります。

🛒

商品・サービス購入

決済時の時価と取得価額との差額が利益となります。

⛏️

マイニング報酬等

取得した時点の時価が利益となり、必要経費を差し引くことができます。

🏦

ステーキング・レンディング

報酬として暗号資産を取得した時点の時価が利益となります。

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ハードフォーク

取得価額は0円とみなされ、売却時に売却額の全額が利益として課税対象となります。

所得金額の計算方法

所得金額の計算には「**総平均法**」または「**移動平均法**」のいずれかを選択します。どちらの計算方法を選択するかを税務署に届け出ない場合、自動的に総平均法が適用されます。国税庁は、これらの計算を支援するための計算書を提供しています。

また、過去の取引記録がなく取得価額が不明な場合は、売却価額の5%相当額を取得価額とすることが特例的に認められています。

出典: 国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」, 国税庁「暗号資産の計算書」

3. 確定申告の進め方

暗号資産の利益に関する確定申告は、計画的に進めることが重要です。申告が必要なケースでは、以下のステップに従って準備を進めましょう。

ステップ 1: 年間取引報告書の準備

利用している全ての暗号資産交換業者から「年間取引報告書」を取得します。これが所得計算の基礎となります。

ステップ 2: 所得金額の計算

国税庁提供の計算書などを利用し、総平均法または移動平均法で所得を計算します。経費(手数料など)も忘れずに計上します。

ステップ 3: 必要書類の収集

源泉徴収票、各種控除証明書、本人確認書類など、申告に必要な書類一式を揃えます。

ステップ 4: 確定申告書の作成

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」や会計ソフト(freee, 弥生会計など)を利用して申告書を作成します。暗号資産の所得は「雑所得」として入力します。

ステップ 5: 申告と納税

e-Taxでの電子申告(e-Tax)が推奨されます。振替納税、クレジットカード、スマホアプリなど多様な方法で納税が可能です。

出典: 国税庁「確定申告特集」, 国税庁「確定申告の手引き」

4. 今後の展望と税制改正

2025年、暗号資産税制は大きな転換点を迎える可能性があります。業界団体からは、投資家がより公平で活動しやすい環境を整備するため、税制改正の強い要望が出されています。

特に、株式など他の金融商品と同様の「申告分離課税(税率20%)」への変更や、損失を翌年以降に繰り越せる「損失繰越控除」の導入が中心的な議題です。政府・与党内でも議論が本格化しており、今後の動向が注目されます。

また、国際的な税務協力も進展しており、OECDが策定した暗号資産の報告枠組み(CARF)が2027年から情報交換を開始する予定です。日本もこれに対応した法整備を進めており、国外の取引所を利用している場合でも情報が共有されるようになります。

出典: 日本経済新聞「仮想通貨、分離課税に 自民税調が検討」, 金融庁「金融商品としての利用者保護に関する議論」, 国税庁「OECD暗号資産報告枠組み(CARF)について」

このガイドは情報提供を目的としており、投資助言ではありません。税務上の判断は必ず専門家にご相談ください。