ステーブルコインの法と税金
2025年最新動向:専門家情報に基づく完全ガイド
1. はじめに:ステーブルコインとは?
ステーブルコインは、その価値を法定通貨(米ドルや日本円など)に連動させることで、価格の安定を目指す暗号資産です。決済や送金など、実用的な用途での利用拡大が期待されています。
法定通貨担保型
米ドルなどの法定通貨を準備金として価格を安定させます。(例: USDC, USDT)
暗号資産担保型
他の暗号資産を担保に、過剰担保によって価格の安定を図ります。(例: DAI)
無担保型(アルゴリズム型)
アルゴリズムによって供給量を調整し、価格を安定させます。
出典: 日本銀行「ステーブルコインに関するレビュー」
2. 主な違い:ステーブルコイン vs. 一般暗号資産
ステーブルコインと一般暗号資産は、その性質や用途、法規制、税務上の取り扱いにおいて重要な違いがあります。この比較表で、両者の本質的な差異を明確に理解できます。
| 項目 | ステーブルコイン | 一般暗号資産 (例: ビットコイン) |
|---|---|---|
| 価値の源泉 | 法定通貨などの裏付け資産 | 市場の需要と供給 |
| 価格変動性 | 低い(安定) | 高い(変動) |
| 主な用途 | 決済、送金、DeFiでの価値保存 | 投資、投機、価値の移転 |
| 法的性質 (日本) | 「電子決済手段」としての側面が強い | 資金決済法上の「暗号資産」 |
| 期末評価課税 (法人) | 電子決済手段に該当する場合、原則不要 | 活発な市場があれば時価評価の対象 |
出典: 金融庁「事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)」, 国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱いについて」
3. 法的・規制上の位置づけ
ステーブルコインは、決済機能や金融システムへの影響から、各国で法整備が進められています。日本では、2023年6月に施行された改正資金決済法によって、その定義と発行ルールが明確化されました。
改正資金決済法 (2023年6月施行)
この法律により、日本国内でステーブルコインを発行・仲介できる事業者は限定され、利用者保護の枠組みが強化されました。
国際的な規制の動向
金融安定理事会(FSB)などの国際機関も、マネーロンダリング対策や金融システムの安定を目的とした、統一的な規制勧告を策定しています。
出典: 金融庁「ステーブルコインに関する法制の整備について」, 金融安定理事会(FSB)暗号資産関連作業
4. 税務上の取り扱い Q&A
ここでは、ステーブルコインの税務について、よくある質問に答える形でポイントを解説します。一般の暗号資産との違いにも注目してください。
A. 個人の場合、原則として「雑所得」として総合課税の対象となります。これは一般の暗号資産と同じです。給与所得など他の所得と合算され、所得額に応じた累進税率(最大55%)が適用されます。
A. はい、課税対象となる可能性があります。例えば、USDTをDAIに交換した場合、USDTを一度売却してDAIを購入したと見なされます。この際、USDTの取得価額と交換時の時価との差額が損益として認識されます。ただし、価値が常に1ドルに固定されているステーブルコイン同士の交換では、為替レートの変動がなければ、実質的な損益は発生しにくいと考えられます。
A. いいえ、原則として課税されません。国税庁の指針では、ステーブルコインのような「電子決済手段」は期末時価評価の対象外とされています。これは、含み益に課税される可能性がある一般の暗号資産との大きな違いであり、事業者が決済手段としてステーブルコインを利用しやすくなる重要なポイントです。
出典: 国税庁「暗号資産の税務に関する質疑応答」
5. 今後の展望
ステーブルコインを取り巻く環境は、技術、規制、市場の各側面で急速に進化しています。今後は、より明確な国際的ルール作りと、技術革新による新たなユースケースの創出が期待されます。
「ステーブルコインがもたらす便益を最大化し、リスクを軽減するためには、機能ベースで整合的かつ包括的な規制アプローチが不可欠である。」– 金融庁「ステーブルコインに関する考え方」より
税制面では、一般暗号資産と同様に、申告分離課税への移行や損失繰越制度の導入が引き続き議論の焦点となります。これらの改正が実現すれば、ステーブルコインを含むデジタル資産市場全体の活性化に繋がる可能性があります。投資家や事業者は、国内外の規制や税制の最新動向を常に注視し、専門家のアドバイスを求めながら、適切に対応していくことが重要です。